不動産を「知人や親戚から直接買いたい」「仲介手数料を節約したい」という理由で、個人間売買を検討される方がいます。一見すると手軽に思えますが、仲介業者がいない売買は、多くのリスクが伴います。本記事では、個人間売買で多く発生するトラブルと、その対策方法をご紹介します。
そもそも「個人間売買」とは
個人間売買とは、不動産会社などの仲介業者を通さず、売主と買主が直接契約する売買方法です。
一見するとメリットがあるように思えます。
- 仲介手数料(売買代金の3%程度)が不要
- 売主と買主で直接交渉できる
- 手続きが比較的簡潔に見える
しかし、以下のような重大なリスクがあります。
- 不動産会社のような専門知識がない
- トラブル時に相談先に困る
- 重要な確認事項を見落とす可能性が高い
個人間売買は思わぬトラブルが発生しやすい売買方法です。
よくあるトラブル事例
1.権利関係の確認漏れ
実例
親戚が所有する物件を購入して代金を支払ったものの、不動産会社や司法書士が関与せず所有権移転登記手続きをしたため、銀行の抵当権が設定されていることに気がつかなかった。
何が問題だったのか
- 売主が登記簿謄本を取得していなかった
- 買主も事前確認をしていなかった
- 抵当権抹消の手続きが行われていなかった
仲介業者が司法書士が関与していれば、契約前に必ず登記情報を確認します。個人間売買では、この確認が漏れることが多いのです。
2.売買契約書がない、または不完全
実例
「口約束で大丈夫」と思い、契約書を作らずに代金を支払ったところ、売主が「やっぱり売りたくない」と言い出してしまい、代金が返ってこないというケースです。
何が問題だったのか
- 売買契約書という証拠がない
- 支払い条件が明確ではなかった
- 契約解除時の取扱いが決まっていなかった
個人間売買では、売買契約書の重要性が見落とされやすいです。
3.買主が融資を受ける場合のトラブル
実例
「銀行からローンを受けて買いたい」という買主が、融資審査を通すために必要な書類をそろえられず、契約後に融資が実行されなかったというケースです。売主は既に手付金を受け取っており、買主との間でもめることになりました。
何が問題だったのか
- 買主の融資不承認の可能性を事前に考慮していなかった
- 銀行が要求する書類がなかった
- 融資が実行されない場合の取扱いが決まっていなかった
不動産会社の仲介では、銀行との連絡や融資条件の確認も代行します。個人間売買では、全て当事者の責任になります。
4.建物の瑕疵(かし)に関するトラブル
実例
「建物は大丈夫」と売主が言っていたが、購入後に雨漏りや構造の問題が判明したというケースです。買主が修理費用を請求しても、売主は「個人間売買だから責任はない」と応じないままになってしまいました。
何が問題だったのか
- 建物の状況を事前に十分に確認していなかった
- 契約不適合責任(売主の責任)について契約に記載していなかった
- ホームインスペクション(建物診断)を実施していなかった
個人間売買では、「すべて自己責任」という暗黙の了解のもと進むことが多く、後から問題が生じてもどうにもならないことがあります。
個人間売買での最低限必要な対策
1.登記簿謄本と公図の事前確認
必ず以下を確認しましょう
- 売主が本当に所有者か
- 抵当権や差押え、仮登記などが付いていないか
- 建物と土地の両方が登記されているか
- 過去の権利変動に問題がないか
対策:売却契約前に、法務局で登記簿謄本を取得して確認すること。
2.売買契約書の作成(必須)
口約束ではなく必ず書面に残してください。
売買契約書に記載すべき項目
- 売主・買主の氏名、住所
- 不動産の所在や地番等の記載
- 売買代金と支払方法
- 支払期日
- 手付金の額と支払日
- 残代金の支払日
- 登記申請の時期
- 契約不適合責任
- 融資特約(ローンが実行されない場合の取扱い)
- 契約解除の条件
3.ホームインスペクション(建物診断)の実施
建物の状況を正式に診断してもらいます。費用は5~10万円程度ですが、後々の瑕疵トラブルを防ぐための投資です。
4.融資が必要な場合は事前に銀行と相談
「買主がローンを受ける」という場合は、必ず契約前に銀行に相談しましょう。
確認すべき事項
- 対象の不動産に融資が可能か
- 必要な書類は何か
- 融資審査にかかる期間
- 融資が実行されない場合の対応
仲介業者がいない場合、この確認は買主の責任になります。
5.司法書士への相談・依頼
個人間売買こそ、司法書士の専門知識が必要です。
司法書士ができること
- 売買契約書の作成・チェック
- 登記情報などの事前確認
- 登記手続きの代理
- 権利関係の確認
- トラブル予防のアドバイス
6.税理士への相談(親族間取引の場合)
親から買う、兄弟と共有になるなど、税務上の問題が生じる可能性がある場合は、税理士に相談しましょう。
結論:個人間売買は注意点が多い
個人間売買のリスク
| 法律知識の不足 | 一般の方では気づかない法的問題が多い |
| トラブル解決能力の不足 | 問題が生じた時、一人では対応できない |
| 税務問題 | 不適切な取扱いにより、税務トラブルが生じる可能性がある |
| 登記手続きの失敗 | 司法書士に依頼せずに手続きすると、失敗することも多い |
不動産は人生で最も高額な資産です。「安く済ませたい」という一時的な節約が、後々大きなトラブルに発展することもあります。
当事務所の推奨
「仲介手数料を節約したい」というご希望は理解できますが、個人間売買であっても、最低限司法書士に売買契約書の作成と登記手続きを依頼することをお勧めします。
個人間売買などについて詳しく知りたい方、疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
お電話でのご相談は、30分まで無料で承っております。
多くの場合、30分以内で問題解決までの道筋をご提案することが可能です。まずはお気軽に、あなたのお悩みをお聞かせください。声に出すことで “ホッ” とされる方がほとんどです。




