振込詐欺の被害がいっこうに減少しないという話を耳にした事があると思います。振込詐欺撲滅の為に警察だけでなく、テレビのニュースなどでも振込詐欺の様々な手口を紹介しています。またATM付近の壁にも振込詐欺の注意を呼びかけるポスターが貼られています。こういった各方面の尽力にも関わらず、振込詐欺の被害は増加すらしている嘆かわしい現状のようです。振込詐欺が減少しない要因としては、その手口が巧妙になっている事や、詐欺グループがより組織化され、主犯格の検挙が難しくなっている事などが挙げられると思います。また認知症の方の増加も振込詐欺被害の増加の要因になっているのではないでしょうか?認知症の方と会話を交わすなど、直に接した経験のある人は意外と少ないのではないかと私は考えております。私は何名かの認知症の方の成年後見人に就任させていただいております。それまでは認知症の高齢者の方とお話をする機会はなかったように思います。
私が認知症の方とお話をして驚いた事が、普通に会話ができる方が多く存在する事です。傍からみれば、私がお話をしている相手が認知症などとは思えないくらいに、流暢にお話をされます。恥かしながら私は、成年後見人に就任するまでは認知症になると、言葉を忘れ、一切の会話ができなくなるくらいに考えておりました。認知症になると、海馬という脳の記憶を振り分ける機能が著しく低下するそうです。簡単に言うと新たな情報を記憶する事ができなくなるそうです。・・・と言いつつも、私が成年後見人に就任している認知症の方の一人など「お気をつけてお帰りください、後見人さん」などと、私を後見人とお呼びになるのです。私という後見人はその認知症の方にとって、明らかに新たな情報のはずなのです。医学的に認知症については、わかっている事より、わかっていない事の方が圧倒的に多いと言われていますが、うなずけます。
先ほどの振込詐欺の話しに戻りますが、認知症になっても会話はもちろん、字を書き、押印もできる方もたくさんいます。しかし脳の機能は低下しているのです。認知症の方が振込詐欺の詐欺師を相手どって対抗するのは困難であると言わざるを得ません。詐欺師に指示されるがまま、高額な現金を渡してしまう残念な結果になってしまうケースが多いのではないでしょうか。
上記のような事態を防ぐ対策を各方面で今後も検討し、より強固な対策がなされ、近い未来に振込詐欺が撲滅されると信じております。私も微力ながら振込詐欺撲滅に力添えをしたいと考えおります。その第一歩として、現在就任中の認知症の方の成年後見人の職責を全力で全うします。