駅前双葉相談事務所に不動産の名義変更でいらっしゃるお客様の中には、地方に所有している不動産の処分についてのご相談が少なくありません。これはよく耳にする「原野商法」で取得した不動産に限らず、子供たちは全て家から出ていて誰も住んでいない実家の土地家屋や、人口が特に少ない地域に別荘などを購入し放置状態のまま数10年経過してしまったパターンなどがあります。
誰も居住者がいなくなった地方の実家の場合は、意外とスムーズに売却や贈与による処分の手続きがまとまることが多いです。もともと居宅用として使用していた不動産ですので、その周囲はエリア規模で居宅が多くまとまった人口が存在します。そのため市場価値も安価ながらも一定の価値があります。隣地の方に購入してもらえたり、最悪の場合でも無料で引き取ってくれる可能性が高いからです。当事務所も幾度か隣地の方に買い取っていただいたり、贈与によって引き取っていただいた経験がありました。
しかし特別な人口過疎地の土地を別荘地として購入したケースでは、近年の人口減少による需要の著しい低下に加えて、年間の管理費の負担が発生する別荘地が多く、土地を取得しようとする方はその負担に抵抗を感じてしまいます。そういった事情もあり売却どころか無料で引き取ってくれる人を探すのが極めて困難な状況となってしまうのです。現地の不動産業者に連絡をした際には、無料でも負担になるから引き取れませんと即答されたことがあります。
こういった引き取り手のない不動産は、現地の市区町村が行っている空き家バンクなどに登録をして、気長にもらい手が現れるのを待つしかないかと思われます。キャンプブームなどの追い風もあり近年では無料であれば引き取ってもらえる可能性はあります。
また最近ではお金を支払って過疎地の不動産を引き取る事を業務として行っている会社も出てきています。これらの会社は昨今の所有者不明土地問題などの話題性が高まると共に、業務を開始した新しい会社が多いようです。ただ新しいサービスのため利用状況の情報は豊富とは言えません。しかしこれからこういったサービスを行う会社が増えてくる可能性はとても高いと思われます。引き取り手のない不動産の処分を希望なさる方は、高齢化に比例して急増しているからです。これから時間の経過ともに情報や経験談などが増えてくると思われますので、サービスの利用状況などを注視したいと思います。