不動産登記の代表的な登記といえば不動産の所有者を変更する“名義変更の登記”かと思われます。しかし不動産登記は名義変更の他にも様々な登記が存在します。以下登記の種類と登記をするメリットなどについて説明をさせていただきます。
住所変更登記
不動産の登記簿には所有者の名前だけではなく、住所も登記されています。これまで所有者の住所が変わった場合でも登記の義務はありませんでした。しかし令和8年4月までの政令の定める日から義務化されることになったようです。義務違反は過料として5万円以下の過料が課されることとなっております。しかし住所変更登記は一般的な感覚よりはるかに重要な登記というのが司法書士の認識です。それというのも後ほど述べます抵当権抹消登記や、所有権移転登記を行う前提として、不動産の所有者の住所が現在の住所と一致していないと、登記が却下されてしまうからです。そのため我々司法書士は所有者の住所変更登記があったか否かについて非常に神経を張り巡らせて登記業務を行っております。
抵当権抹消登記
住宅ローンを完済した時に行う登記が抵当権抹消登記です。お客様からのご依頼の件数が非常に多い登記となっております。住宅ローンを組んだ銀行が抵当権抹消登記を行ってくれそうですが、銀行が行うわけではありません。抵当権抹消登記によって登記簿がクリアになるお客様が、ご自身で行うことがほとんどです。この登記は現在のところ義務化はされていないようですが、放置しておくと書類の紛失などにより手続きが長期化してしまうこともあります。売却の際には絶対に行わなければならない登記のため住宅ローン完済後は早めに行うことをおすすめします。
所有権保存登記
こちらは基本的に建物の登記となります。建物を新築した場合に土地家屋調査士による表題登記→司法書士による所有権保存登記の流れで行われます。しかし住宅ローンを組まずに現金一括で新築費用を支払った場合に上記一連の登記が行われないケースが多く見受けられます。なぜなら住宅ローンを組む場合には建物も住宅ローンの担保となり、表題登記、所有権保存登記を銀行から要求されるからです。また所有権保存登記を行わないと建物の権利証が発行されないため、建物の権利証が欲しい方はぜひ行うべきです。
名義変更の登記(所有権移転登記)
所有権移転登記は、お客様との面談では一般的に呼称されることが多い名義変更という表現を用いております。名義変更には種類があり、一般的には売買、贈与、財産分与、相続(相続による名義変更は令和6年4月までの政令の定める日から義務化されることが決まりました)といった出来事によって種類が変わってきます(司法書士は登記原因と表現しております)。発生した出来事によって必要書類や、登録免許税、登記の当事者が異なってきます。名義変更は不動産の所有者を変更する極めて重要な登記です。登記手続きだけでなく、その後の税金の問題も絡んでくるデリケートな一面もあります。また相続による名義変更登記を司法書士に相談せず自身で行った結果、小さいな土地を見逃してしまうことがあります。そのため売却をする事が事実上不可能となってしまうケースも存在します。例えば数年後に名義変更漏れの土地が発覚した際に、再度遺産分割協議を行うことを試みたが当時の相続人が亡くなっており、その相続人から協力が得られない場合などです。小さなミスが大きな障害となることが不動産の名義変更の登記では起こりますので司法書士に相談すべきです。