ニュースなどで一度くらいは耳にしたこともあるかもしれません。現在の日本では「所有者不明土地」という、具体的な所有者を特定できない土地が急激に増加しております。その面積の広さは九州全土の土地面積を上回るそうです。(※所有者不明土地問題研究会発表)
にわかに信じ難いデータではありますが、確かに私の周りでも雑草が生い茂って何年も放置されている土地が存在していますし、ぼろぼろの空き家なども珍しくないように思えます。この現象は土地の需要価値の低い地方だけではなく、なんと土地の価格が高額な東京23区にも起きているようなのです。
何故こういった現象が発生するのでしょうか。その理由の一つとして、複数回発生した相続により相続人の数が何十人単位となり、権利関係が複雑化していることが挙げられます。戦前は子供が5人以上いる家庭が珍しくありませんでした。そこで相続手続きを放置してしまうと、権利が子供の子孫へと枝分かれし相続人が何十人という事態になってしまうのです。
このように相続人が膨大になった場合には、訴訟によって解決させることが多くあります。具体的には時効取得訴訟と言って、不動産の所有権を現在管理、占有している方の名義に変更するのです。ここで知っておいて頂きたいのが、収集しなければならない戸籍が100通以上に及ぶうえ、裁判所でも膨大な書類の精査があり時間がかかってしまうことです。
私が受任したケースでは、相続人が27人の場合で1年半、50人の場合で2年3カ月の時間を要しました。争う姿勢をみせた相続人がいた場合は、更に時間を費やすことになるでしょう。
しかし、東京・神奈川・千葉・埼玉などの首都圏に存在する所有者不明土地の場合、訴訟を提起しないで済む可能性があります。なぜなら、まとまった金額で売却が可能なため相続人から協力が得られやすいからです。また、訴訟をせずに所有権移転をする場合は、実印による署名と印鑑証明書のみ用意すれば手続きが完了するので、労力が少ないことも利点と言えるでしょう。
費用について
○訴訟が必要な場合
10人まで20万円
10人を超える場合は1名増加ごとに1万円加算
※不動産の登記費用が別途かかります。
10人まで10万円
10人を超える場合は1名増加ごとに1万円の加算
○訴訟が必要のない遺産分割協議書の作成及び相続人の特定
10人まで10万円
10人を超える場合は1名増加ごとに1万円の加算
・その他費用
戸籍等の取得:1通につき1080円