現在、取得日の時点で築20年又は25年(建物の構造により変わります)が経過した中古住宅を購入する場合、耐震基準適合証明書等の書類を取得しないと、住宅ローン控除や登記の際の登録免許税の軽減措置を受けることができません。司法書士が中古住宅の登記費用を算出する場合、上記の築年数が経過している建物では、住宅用家屋証明書という登録免許税を軽減できる書類を取得可能であるかどうかで大幅に登記費用が変わるため、その前提で必要になる耐震基準適合証明書等を取得するかを始めに確認します。それでは「住宅ローンを4000万円借りて中古住宅を購入した場合」の登記の登録免許税の事例をみていきましょう。
住宅ローンを4000万円借りて中古住宅を購入した場合
建物の固定資産税評価額:1000万円
申請する登記:①所有権移転登記 ②抵当権設定登記
〇住宅用家屋証明書を取得できた場合
建物の所有権移転登記の登録免許税は3万円
抵当権設定登記の登録免許税は4万円
合計7万円
〇住宅用家屋証明書を取得できない場合
建物の所有権移転登記の登録免許税は20万円
抵当権設定登記の登録免許税は16万円
合計36万円
上記のケースでは、登録免許税に29万円もの差が生じました。もちろん、建物の評価額や住宅ローンの借入額によってその差は変動しますが、登記費用だけではなく住宅ローン控除の適用等も考慮するとかなり大きな差になります。
しかし、本国会で改正案が成立すれば令和4年4月1日以降、上記の築年数の要件が変更され、昭和57年以降に建築された建物であれば耐震基準適合証明書等を取得しなくても住宅ローン控除や住宅用家屋証明書を取得できるようになります。中古住宅購入の選択肢が広がり、不動産市場がより活性化するかもしれません。