「子どもに早めに不動産を渡しておきたい」「相続税を減らす対策として生前贈与を考えている」——そんなご相談をよくいただきます。生前贈与は確かに有効な手段ですが、不動産の場合は相続よりも税負担が大きくなるケースも少なくありません。この記事では、不動産を生前贈与する際の注意点と、登記手続きの流れをわかりやすく解説します。
生前贈与とは?相続との違いをおさらい
生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を他の人に無償で渡すことです。一方、相続は亡くなった後に財産が移転します。どちらも財産を渡す手段ですが、かかる税金の種類がまったく異なります。
生前贈与では「贈与税」、相続では「相続税」が発生します。不動産の場合、一般的に相続よりも生前贈与のほうがコストが高くなりやすい点に注意が必要です。
不動産を生前贈与するメリット
デメリットの話をする前に、まずはメリットを確認しておきましょう。
- 相続争いを未然に防げる可能性がある:誰に渡すかを生前に決めて所有権移転登記しておくことで、相続発生後のトラブル防止につながることがあります。
- 早めに財産を渡せる:子どもの住宅取得など、必要なタイミングで不動産を承継できます。
- 相続財産を減らせる場合がある:相続時精算課税制度などをうまく活用すれば、相続税の負担を抑えられることもあります。
【要注意】不動産贈与でかかる税金・費用
不動産の生前贈与で多くの方が驚かれるのが、税金・費用の高さです。相続と比較した表をご覧ください。
| 税金・費用の種類 | 相続の場合 | 生前贈与の場合 |
| 登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% | 固定資産評価額の2.0%(5倍!) |
| 不動産取得税 | 非課税 | 固定資産評価額の3〜4%が課税 |
| 贈与税 | (相続税が発生) | 暦年課税:年110万円超で発生 |
特に登録免許税は、相続では固定資産評価額の0.4%ですが、贈与では2.0%と5倍になります。たとえば評価額2,000万円の不動産であれば、相続なら8万円のところ、贈与では40万円かかります。
また、相続では非課税の不動産取得税が、贈与では課税されます。これらのコストを踏まえたうえで、生前贈与が本当に有利かどうかを検討することが重要です。
相続時精算課税制度とは?
60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に使える制度です。累計2,500万円まで贈与税が非課税になりますが、相続が発生した際に贈与した財産が相続財産に加算されます。
不動産の場合、この制度を使っても不動産取得税や登録免許税(2%)は発生するため、必ずしも「お得」とはなりません。税理士への相談をおすすめします。
贈与登記の手続きの流れ
不動産を贈与する場合、必ず「所有権移転登記(贈与)」の手続きが必要です。口約束や書面だけでは第三者に対抗できません。手続きの流れは以下のとおりです。
贈与する不動産の所在・地番・面積、贈与する日付、贈与者・受贈者の情報を明記した契約書を作成します。必ず贈与者の実印を押印し、印鑑証明書を添付します。
贈与者の登記識別情報(権利証)・印鑑証明書(3ヶ月以内)、受贈者の住民票・認印(またはマイナンバーカード)、固定資産評価証明書などが必要です。
管轄の法務局(不動産の所在地)へ申請します。書類に不備がなければ、通常1〜2週間程度で登記が完了します。司法書士に依頼すれば、書類の準備から申請まで代行してもらえます。
年間110万円(暦年課税の基礎控除)を超える贈与があった場合は、翌年の3月15日までに受贈者が贈与税の申告をする必要があります。税理士との連携をおすすめします。
生前贈与が向いているケース・向いていないケース
向いているケース
- 子どもにすぐ不動産を活用させたい(賃貸収入を得させたいなど)
- 相続人が1人で争いの心配がない
- 不動産の評価額が低く、贈与税がほとんどかからない
- 相続税の節税対策として専門家のアドバイスのもと計画している
向いていないケース(要検討)
- 評価額が高い不動産で、税金・費用の合計が相続より大幅に増える
- 将来的に売却する可能性がある(取得費の引き継ぎで不利になることも)
- 相続人が複数いて、特定の人への贈与が遺留分侵害になる恐れがある
まとめ
不動産の生前贈与は、タイミングや状況によっては非常に有効な選択肢です。しかし、相続と比べて税金や費用が高くなりやすいため、「なんとなく生前贈与」は危険です。
司法書士・税理士と連携して、ご家族の状況に合った最適な方法を選ぶことが大切です。
「生前贈与か相続か、どちらが得か迷っている」「費用の目安を知りたい」など、まずはお気軽にお電話ください。 司法書士法人 駅前双葉相談事務所では、30分まで無料でご相談いただけます。税理士とも連携して、ベストなご提案をいたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスではありません。具体的なご相談はお気軽にお問い合わせください。




