不動産と言えば一般的には保有する資産の中で特に高額と考えられる存在です。不動産の売却によって新居の購入や高齢者の施設費用にあてるなど、いざという時に頼りになるとっておきの資産といえるでしょう。しかし少子高齢化が加速している日本では1980年代の不動産の価格が高騰したころと比較して、考えられないくらい価格が減少している地域が全国的に珍しくなくなってきているのです。
市場価格が算定できず無料?!
例えば投資用に購入した地方の別荘地や、同じく地方の実家の宅地、畑などは、市場価値がほぼ算定できず無料でも引き取ってくれる人を探すのが困難な不動産も存在するのです。投資用で40年以上前に1,000万円前後で別荘地を購入したにも関わらず、現在10万円~20万円の売却価格の見積もりを業者から提示され絶句する方もいます。残念ながらその不動産業者の見積額は妥当な可能性があります。その購入した別荘地ですが、購入した本人は現地に定期的に訪れているのかといえば、ほぼその存在を忘れていて自身で利用したこともないと回答がきます。おそらくは待っていれば購入希望者が何らかのアクションを起こしてくれると考えていたのでしょう。しかし購入した本人が存在を忘れるような立地の不動産は多くの場合において市場価値がなく、待っていても時間が経過してしまう結果となってしまうのでしょう。
それでもかかる管理費
やっかいなのは、別荘地などは毎年の管理費がかかってしまうことです。年2万円程度の管理費でも10年単位の時の経過で数十万円ほどになります。したがって管理費のかかる不動産は処分を急いだほうが良いケースもあります。保有している地方の不動産が駅から車で1時間かかる場所にあったり、人口過疎地で2万人以下の市町村の不動産は、市場価値はほぼない可能性が高いでしょう。試しにご自身が地方に保有している付近に、不動産業者の店舗があるかインターネットで検索してみるとわかりやすいかもしれません。首都圏ならば数えきれないくらいの不動産業者がヒットします。しかし地方の過疎地では不動産業者が存在しない場所もあるのです。
無料で引き取ってもらう覚悟
地方の過疎地の不動産を売却する場合は、“売却で利益を得るというよりも、売却して管理費などの支払い義務から解放され、土地の問題が子供たちに引き継がれないようにする”といった心構えの方がスムーズに処分ができるのかもしれません。ケースによっては無料で引き取ってもらう覚悟も必要となるでしょう。時代の流れなのでしょうか、最近では過疎地の物件の場合は不動産を買うのではなく、お金を業者に交付して引き取ってもらうというサービスを行う不動産業者がでてきております。また令和5年4月から国が引き取ってくれるという制度が開始されます。しかしこの制度を利用するには、相続・遺贈によって取得した土地で建物は引き取らないなど一定の条件がある上に、ここでも最低20万円以上の支払いが発生します。