不動産の贈与をお考えの方が心配なさるのはなんといっても贈与税の事かと思われます。それというのも不動産は高額な財産のため贈与を行った場合、百万円単位の高額な贈与税がかかってしまうケースがほとんどでしょう。そのため不動産の贈与に二の足を踏んでしまうのは仕方のない事かもしれません。
しかし年間110万円以下の受贈(もらう事)なら贈与税が課税されない「暦年贈与」を行う事で贈与税を減らすことができる可能性があるのです。
路線価1000万円の不動産
例えば路線価で1000万円の不動産を暦年贈与を利用して毎年贈与する場合、受贈者が1名であれば毎年110万円分の土地持分を年に1回贈与すれば10年で全ての土地持分を贈与する事ができます。これが2名なら5年です。つまり贈与する相手の人数が増えれば増えるほど短期間で贈与を完了する事ができます。
また1000万円の不動産を3名に贈与する場合、令和2年12月に1回目330万円贈与、令和3年1月に二回目の330万円の贈与、令和4年1月に340万円贈与した場合、贈与の全期間は令和2年12月から令和4年1月で14カ月、つまり1年と2カ月で贈与を完了させる事ができるのです。3年間ではありません。あくまで「暦年贈与」は年度を基準にするからです。1年つまり365日を経過しないと次の贈与が行えないという訳ではないのです。
暦年贈与の注意点
上記の例では3回目の贈与が3名の基礎控除330万円を超えた340万円の贈与を行っていますが、その場合基礎控除額を超えた10万円に対し贈与税が課税されます。贈与税を支払う事となり損をしているように思えますが、定期的に毎年贈与を行う場合はわずかでも贈与税を支払った方が良いかもしれません。
なぜなら「連年贈与」といって、最初から全部の財産を贈与する意図があったとみなされることがあるからです。その場合、贈与した財産の価格全てに贈与税が課税されてしまうことがあります。「連年贈与」と認定されないために、毎年贈与する価格を時には変更した方が良いでしょう。また毎年「贈与契約書」を作成して、あくまで毎年の贈与は別個独立した贈与であることの証拠を残すことも有効です。贈与税の申告をした場合にはその申告書も証拠となります。