預貯金、株式等に不動産を加えた日本人の個人資産の合計は2,600兆円あるといわれております。その資産のうち約半分以上を65歳以上の方々が所有しており、今後の予測では20年以内に1000兆円以上の資産が相続によって次世代に承継されていくそうです。まさに大相続時代の到来といえます。
相続が発生すると預金、株式、車、不動産など資産の名義変更が必要となりますが、大相続時代を迎える今後の日本ではそういった諸手続きの件数も大幅に増加するでしょう。そうすると何が起こるか。こういった時代の流れに便乗しようと悪徳業者が暗躍してくるのです。残念ながら、明らかに便乗と思われる違法行為がすでに起き始めています。その一例をご紹介いたしましょう。
『戸(除)籍謄本の取得で30万円!?』
相続の手続きには亡くなった方の戸籍の収集が欠かせません。知識と根気がいる作業です。そのためか預貯金や不動産等の名義変更手続きの大半は、戸籍の収集も併せてのご依頼頂くのが一般的です。ところが先日私の事務所に不動産の名義変更のご相談にいらしたお客様は、“戸籍は他の専門家に頼んで取得してある”とおっしゃるのです。戸籍の収集をご自身で行う方は少なからずおりますが、他の専門家に頼んで不動産の名義変更だけを私にご依頼する方は初めてでした。そこで詳しく事情をお伺いしたところ、インターネットで見つけた相続センターという業者に電話をして相続手続きをお願いしたそうです。ところがこの相続センタ―の職員は戸籍の収集だけを引き受け、他の手続きは司法書士等の専門家に依頼するようにと戸籍収集以外の手続きは断られてしまったというのです。この相続センターの職員達は専門的な資格を保有しておらず、より専門的な知識と経験が必要な他の手続きは断ったのではないかというのが私の見解です。
驚いたのがその費用です。戸(除)籍謄本15通ほどの取得でなんと、報酬を30万円も支払ったというのです。司法書士などの専門家に依頼した場合に戸籍の収集だけで30万円も請求される事はありません。相続手続きを目的として戸籍を収集し報酬を請求するためには専門的な資格が必要となり、資格がない場合は当然ながら違法行為となります。
当職といたしまして、このような業者は断じて許せません。そこで、この様な悪徳業者を見極める際に参考にして頂きたいポイントをご紹介したいと思います。
①資格名が記載されているか
サイトの事務所概要などの紹介文に弁護士、司法書士、行政書士、税理士など資格名が記載されているかを確認して下さい。資格名が全く掲載されていないサイトは、必要な資格を有していない業者の可能性が高いと考えられます。
②報酬額が明確に掲載されているか
報酬額が明確に掲載されている事務所は、報酬額をめぐるお客様とのトラブルを避けようとする意識が高い事務所といえます。少なくとも戸籍の取得だけで30万円もの報酬を請求するような事務所には、依頼されない方が無難でしょう。
将来起こりうる事を予見するのは困難ですが、相続は比較的準備のしやすい出来事といえます。それでも人生において何度も経験するわけではありませんので、いざ相続が発生した時に、十分な知識と準備で対応できる方は少数ではないでしょうか。そこでインターネットを使い相続の専門家を探す・・という流れになることが多いと思います。インターネットで探す場合は、多くのサイトを閲覧し比較することが大切です。インターネットの大きな利点を活かし、良い専門家と出会えることが、スムーズな相談を行う為の第一歩と言えるでしょう。
当方「田端最利雄法務事務所」も常にお客様目線に立ち、わかりやすくお伝えできるよう日々精進しておりますので、安心してお任せください。