不動産登記は、権利変動の流れを忠実に反映することが原則です。しかし、例えばAからB、BからCへと不動産売買があったとき、Bとしては自分に所有権移転登記をすると登記費用などがかかるため、それを省略して直接AからCに所有権移転してほしいという実務上の要請があり、中間省略登記が以前はよく行われていたようです。その後、法改正によって登記原因証明情報に売買の過程を法務局に提出することが求められるようになり、登記の原則に反するこの抜け道は使えなくなりました。そこで、それに代わる方法として利用されているのが「新中間省略登記」です。この方法は「第三者のためにする契約」と「買主の地位の譲渡」という二つに分けられます。ここでは、実務上よく利用される前者の方法を取り上げます。
第三者のためにする契約
ステップ1 AB間の契約書に特約を記載
- Bが指定する第三者Cに直接所有権移転登記をする
- (1)BがCを指定する
(2)Cが受益の意思表示をする
(3)Bによる売買代金の支払い
上記の条件が成就したときに所有権がAからCに直接移転する - ②の条件が成就するまでAに所有権が留保する
- Cによる受益の意思表示の受領権限をAがBに委任する
ステップ2 BC間の契約書に特約を記載
- Cが受益の意思表示をする
- 売買代金の全額の支払いをしたときに登記名義人から直接Cに所有権移転する
- 所有権は登記名義人であるAにあるため、本物件の所有権を移転する売主の義務については、Bが売買代金全額を受領した時に、その履行を引き受けたAがCにその所有権を直接移転する方法で履行する
この方法を利用すれば、Bは登記費用や不動産取得税などの費用を節約できます。ただし、AB間、BC間のそれぞれの決済日がずれてしまうと、A名義の不動産をAの債権者から差押えされる等のリスクがあるため、取引の安全を担保するためにも同時に行うことが望ましいです。
新中間省略登記に関しまして詳しく知りたい方、また、疑問等がございましたら、相談を随時受け付けておりますので、是非一度ご連絡ください。お電話でのご相談は30分まで無料でございます。多くの場合、問題解決までの道筋を30分以内でご提案することができます。まずはあなたの疑問をお聞かせください。声に出すことで“ホッ”とされる方がほとんどです。