駅前双葉相談事務所では、開業以来多くの消滅時効の援用のご依頼をいただき、様々なケースについて対応してまいりました。そこで今回は、消滅時効の援用が利用できなかった(完成していない)ケースについて触れていきたいと思います。
消滅時効が完成していない理由のほとんどは、「時効中断事由」があった場合です。裁判所で訴訟を提起され判決が確定した場合や、仮執行宣言付支払督促が確定していた場合に借金の時効が中断します。時効中断後10年経過しないと再度の時効が完成しません。
「裁判された記憶はあるけど随分前の話だから~」と再度の時効が完成しているか確認をしても、たいていの場合は10年経過前に訴訟を再度提起してきます。このような消費者金融の場合、債権回収に対する積極性が強いと考えられますので、再度の時効が完成する見込みは極めて薄いといえるでしょう。
ここで大切になってくるのが「時効が中断してしまっていた場合の対応」です。返済額はたいていの場合遅延損害金が膨れ上がり100万円以上の負債になっています。例えば元金が30万円程で10年以上経過した場合、遅延損害金が100万円以上となり、元金と遅延損害金の合計で130万円以上になっていることもあります。数百万円以上の返済義務が残っている事を知り、絶望を感じてしまう依頼者の方も少なくありません。
しかし、消費者金融側は必ずしも一括で返済を要求してくるわけではありません。むしろ一括で返済できない事を承知していて、多くの場合分割払いの和解に応じてくれます。しかも和解後に利息をカットしてくれることもあります。5年以内60回の分割返済でまとまるケースがほとんどです。
また、まとまったお金を一括返済できる場合は返済額を大幅に減らしてくれる事もあります。先程の例ですと、130万円の返済額に対し20万円を一回目で返済できるのであれば、残額110万円から60万円を免除し、残額を50万円にしてもらう事も交渉によっては可能です。
一方で、あまりにも負債の額が多くご依頼人の収入が少ないケースでは「破産手続き」も視野にいれます。非現実的な返済方法の和解を締結するよりも、法的手続きを行うことで希望がもてるからです。
以上のように消滅時効が中断し返済義務が残ってしまっていても、分割払いや利息のカット、返済額を減らしてもらうなどの対応手段は残っております。
消滅時効の中断を絶望的にとらえる必要はありません。