売買や相続などによって不動産の権利を取得した場合、法務局で不動産の登記を申請することで、権利書(権利証)が発行されます。(※現在では権利書ではなく登記識別情報通知といって不動産一つの登記につき1枚の緑の紙が発行される取り扱いとなっています。)
権利書(登記識別情報通知)は、不動産の売却をする際に必ず求められる非常に重要な書類です。そのため権利書を取得した人は厳重に保管されていることかと思われます。しかし何十年以上も前に権利書を取得したようなケースや、転勤に伴う引っ越しが多い人などは、その過程で権利書を紛失してしまうことは珍しくありません。盗難にあったり、火事で焼失してしまったという人もいらっしゃいます。そして、残念ながら権利書の再発行は認められておりません。では、どうしたら良いでしょうか。以下のように二つの方法があります。
事前通知制度
①登記申請書に「権利書を紛失」などと記載して法務局に権利書がない事を伝える。
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②権利書がないと判断した法務局は権利書を紛失した売り主あてに用紙を送付。
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③送付されてきた用紙に売り主の「実印」を捺印して氏名等の情報を記載し法務局に返送。
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④実印を押印した用紙が権利書の代わりとなる。
メリット | 手続きが簡易で楽なうえに、費用がかからない。 |
デメリット | 法務局から送付された用紙に実印を押さなかったり、法務局に返送する用紙が2週間以内に法務局に到達しないと登記が却下される。 |
「親族間や付き合いの長い業者同士の売買・贈与の登記」
万が一登記が却下されても再度申請しなおすことが容易で、損害賠償問題にも発展しにくいからです。
「抵当権抹消登記」
負債の支払いが完了した後に行われる登記で、トラブルが生じにくいからです。
司法書士作成の本人確認情報制度
司法書士が権利書に代わる書類を作成
※制度の運用としては司法書士という資格に信頼を置いた制度といって良いでしょう。
メリット | 事前通知制度のように権利書を無くした売り主あてに法務局から確認の書類が送付されることはない。返送期間が過ぎたり、押印が実印でされていない等の不備を心配する必要がなく、事前通知制度と異なり登記完了が確実なものとなる。 |
デメリット | 書類作成の司法書士の費用が登記申請とは別に発生。司法書士により変動はあるが、5万円~10万円程度が目安となる。 |
「主に銀行の住宅ローンの融資がからんだ抵当権設定登記があるとき」
銀行は数千万円ものお金を貸す以上、確実に対象不動産に抵当権の設定登記が行われる必要があるからです。
「個人間の売買で、買主と売主の面識が全くないような場合」
どちらの制度を利用した方が、あなたにとって有利になるかをアドバイスさせていただきます。