不動産売却後の税金について~売買契約書の存在で大幅に変わる譲渡所得税~

譲渡所得税

土地や建物を売却した際に売却をした売主に譲渡所得税という税金がかかることがあります。この税金の義務が発生するのは不動産の売却価格が購入価格を上回る場合です。不動産の売却によって購入時より利益が出て儲けが出た場合ということです。例えば800万円で購入した不動産を1000万円で売却した場合は1000万円-800万円=200万円の利益がでます。この200万円に対して課税がなされます。

課税される税率

課税される税率は不動産の保有期間によって変わってきます。保有期間が売却した年の1月1日時点で5年超であれば約20%の税率で、保有期間が売却した年の1月1日時点で5年以下の場合は約40%の税率で課税がされます。仲介手数料や不動産を購入した時の登記費用等の控除がありますが、細かい計算を省略して上記の例に当てはめてみます。

保有期間が1月1日時点で5年超の場合
売却価格1000万円-購入価格800万円=利益200万円
利益200万円×税率20%=支払う譲渡所得税40万円
保有期間が1月1日時点で5年以下の場合
売却価格1000万円-購入価格800万円=利益200万円
利益200万円×税率40%=支払う譲渡税80万円

かなり高額な税金が課税されるのに驚かれたのではないでしょうか。譲渡所得税は不動産の投機行為によって不動産の価格が急騰するのを防ぐ趣旨があるため高額な税金が課税されるようです。そのためか売却による利益が少なければそれだけ課税価格も少なくなります。

ここまでは不動産を購入して売却をしたケースをご説明させていただきましたが、購入以外の方法で不動産を取得した場合はどういった取り扱いとなっているのでしょうか。典型的な事例が相続によって不動産を取得した人が、不動産を売却する場合などです。

相続による不動産取得

相続によって不動産を取得した場合は亡くなった方の取得費用を引き継ぐ形となります。亡くなった方が800万円で不動産を購入したのであれば、800万円が購入した費用となるのです。ここで疑問が生じます。取得費用は一体どうやって税務署に対し証明をするのかです。それは売買契約書によって証明をすることとなります。税金の申告では売買契約書は非常に重要な役割を果たすこととなるのです。

売買契約書がある場所がわからない

自分自身が購入した不動産であれば売買契約書を探すのは容易でしょう。自分自身の売買契約ですし、不動産の仲介業者が立派なバインダーに入れて渡してくれるからです。しかし亡くなった人から相続によって不動産を取得した場合は事情が全く変わってきます。通常は亡くなった方が不動産を購入したのは亡くなる何十年前の事であり、相続人が幼い子供の時ですので売買契約書の存在など知る由もありません。購入から何十年も経過して相続が発生してから初めて売買契約書を意識して探すことが多いかと思われます。

権利書と違い売買契約書は使用する機会がない

通常であれば権利書と共に売買契約書も保管してあることが多いです。しかし権利書があっても、売買契約書が一緒に保管されていないこともあります。なぜなら権利書は不動産購入後も「売却」や「抵当権の設定」など新たに使用する可能性のある書類ですが、売買契約書は不動産購入後は基本的に使用することはありません。そのため権利書と売買契約書の保管方法を変える人も多くいます。

売買契約書が見つからないと5%の取得費用

相続によって不動産を取得した場合は保有期間が5年を超えている事がほとんどです。相続によって取得した場合は亡くなった方の保有期間も引き継げるからです。つまり譲渡所得税が発生する場合の税率は20%となります。不動産の価格が高い時期に購入した場合、購入価格が現在の売却価格より高いことも多いのですが、購入した時の売買契約書が見つからず、購入した代金がいくらなのか証明できなかった場合は不動産を売却した金額の5%を取得費用として扱われます。

先ほどの例だと不動産が1000万円で売却されているので
1000万円×5%=50万円
この50万円が不動産の取得した金額として扱われてしまいます。

この5%を先ほどの計算にあてはめると
保有期間が1月1日時点で5年超の場合
売却価格1000万円-購入価格50万円=利益950万円
利益950万円×税率20%=支払う譲渡所得税190万円となります。

売買契約書の存在で大幅に変わる譲渡所得税

売買契約書があれば譲渡所得税は40万円ですんだはずが、売買契約書がないと190万円も支払わなければならなくなるのです。ですから売買契約書が見つからなかった場合でも簡単にあきらめずに、相続人総出で押し入れの奥や天井裏などをくまなく探すなどしてでも見つける価値があるといえます。それでも売買契約書が見つからなかった時は、通帳の記録、住宅ローンを組んだのであればその契約書、購入当時のパンフレットなど間接的な証拠で信ぴょう性を高め、税務署を説得するかのような申告をすることとなります。

今回の記事では分かりやすくするために簡略化して説明しています。実際の計算では、売却金額から取得費の他に仲介手数料等の譲渡費を引くことができます。また、一定の金額を控除できる特例も設けられています。不動産を売却したときの税金のシミュレーションをする際は、税務署や税理士にご相談されることをおすすめします。

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ABOUTこの記事をかいた人

平成27年司法書士試験合格/法務大臣認定司法書士
平成2年9月19日生/趣味:相撲・スキー・ツーリング・ドライブ/出身校:神奈川県立向の岡工業高校建設科卒業(相撲部主将)・立教大学経済学部卒業(体育会相撲部主将)
私は高校から大学まで相撲に打ち込み主将を務めました。そこでの指導経験を活かし、お客様からのご相談を丁寧に伺い、ひとつひとつ段階を踏んでご説明し、ご希望に沿ったご提案ができるように努めています。体力には絶対の自信を持っておりますので、フットワークを活かし、身近な町の法律家として皆さまのお力になりたいと考えております。ご遠慮無く駅前双葉相談事務所にお越しください。