建物を建てた際に「表題登記」を行う必要があります。必要があるというのは法律上の義務があるということです。不動産登記法164条に10万円以下の過料に処するという規定があり、建物を建てたときから1か月以内に行うことになっています。実際に表題登記を怠って5万円の支払い請求がきた事例があるようです。
表題登記とは
表題登記とは、「建物がどこに・どのような形状で・どれくらいの大きさで・誰が所有者なのか」を公示するものです。通常は土地家屋調査士という専門家が手続きを代理します。建物の表題登記は住宅ローンを組んでご自宅を建てた場合はほぼ強制的に行われます。表題登記をしなければ銀行が融資をできないからです。表題登記を行ってから所有権保存登記を行い住宅ローンの担保のために新築の建物に抵当権を設定するのです。
一方で、銀行からお金を借りずに自己資金で建物を建てた方に表題登記を行わない場合が多く見受けられます。それというのも表題登記という用語そのものが一般的ではないからです。建物のように大きな建造物は建物が存在する現地にいけばその存在は一目瞭然です。しかし建物の存在を可視化できるという事と、法律上その存在を公示することは全く別の概念です。法務局で表題登記の申請をしないままでは登記上は建物が存在しないということになるのです。表題登記は登記上建物の存在を公示し認めてもらう登記といえます。
表題登記をしても権利書は発行されない
表題登記を行っただけでは建物の存在を登記上可視化させる効力があっても、大事な権利書は発行されません。表題登記はあくまで建物の存在を登記上公示させるための登記だからです。権利書を発行してもらうためには建物の権利書を発行する登記である「所有権保存登記」を行う必要があります。所有権保存登記は、表題登記によって公示された建物の所有者が一体誰なのかを公示する登記の事です。この登記によって権利者の氏名が登記され権利書が発行されることとなるのです。権利書は通常であれば使用することはありません。しかし不動産の売却やご自宅を担保にお金を借りる際には必要となる非常に大事な書類です。そのため表題登記を行った流れで所有権保存登記を行うのが一般的です。